~洗浄バリデーションにおけるQbD1200+の有効性
製造プロセスの管理や品質保証に焦点を当てたFDAのプロセスバリデーションガイダンス(Guidance for Industry:Process Validation: General Principles and Practices、January, 2011)におけるステージ3では、上市品がステージ1及びステージ2の段階で設計した通りの一貫性のある製品品質となっていることの検証を要求しています。
この検証のために、プロセスパラメーターの設定、管理、適切なモニタリング、およびデータ分析と統計的手法の使用は必須であり、その結果はプロセスの信頼性と品質の向上にも重要なデータを提供します。特に、医薬品製造現場における最も重要な取り組みの1つである洗浄バリデーションステージ3の取り組みについて、現在活発な議論が行われています。
洗浄バリデーションにおいて残留物の正確な評価は、バリデーションの本質的問題であり、その評価のためにHPLC(高速液体クロマトグラフィー)などの特異性を有する方法とTOCや導電率などの非特異的な方法が利用されています。
このHPLCとTOCは、異なる特性と利点を持っており、特異的な検出と定量分析に優れ、固有の化合物や残留物の特定や定量化に適しているHPLCに対して、TOCは有機炭素の包括的な検出(ワーストケース)と高感度な分析が可能であり、洗浄プロセス全体の有機物除去が適切になされているかを評評価するのに適しています。その上、分析法の開発や測定コストなど、企業にとっても大きなメリットを有しています。
洗浄バリデーションにおけるTOC分析の有効性 | |
測定対象と有効性 | 高精度に微量の異なる有機物を包括的に測定 |
洗浄バリデーションの包括性やリアルタイムのプロセス制御に有効 | |
メンテナンス | メンテナンス性が高くランニングコストが低い(*) |
試験効率性 | 分析時間が短く人的エラーも少ないため効率的なデータ収集が可能 |
(*)Gran View Researchの資料によると、HPLCテストよりも運用コストが40〜80%少なく、分析時間が70〜80%速くなると言われている
こうした観点から、前処理試験等の試験工数が少なく、短時間で分析結果を得ることができるTOC計は、まさにFDAステージ3で求められる日常的で継続した洗浄バリデーションの検証に適している(つまり簡単に短時間でリスクを検出できる)といえます。
さらに、ワーストケースのアプローチにより、消費者視点に立って洗浄バリデーションにおける品質保証、リスク管理、プロセス改善、規制要件への対応など様々な利点を提供します。その上で、ステージ3で問題が発生時には、HPLCを利用し特異物の分析をすることで、より一層洗浄プロセスの強化と品質保証の向上を実現できます。
継続した洗浄バリデーションに対応するTOC計
HachのQbD1200+は、湿式紫外線(UV)酸化方式のラボ用TOC計であり、オートサンプラーを利用して最大64サンプルまでの連続測定が可能です。1mg/L未満のTOC測定精度に優れており、最大100mg/Lまでと、幅広いTOC測定に対応しています。
QbD1200+は、効率的なTOC試験を行うためのいくつかの特長があります。
■ アイコンとイラストによる直感的で容易な操作性
10.4 インチ(約26cm)のカラータッチパネルを採用したモニター画面で、アイコンやイラストでの表示も多く非常に操作が簡単です。
■ キャリーオーバーを改善する機能
サンプル測定毎に試薬洗浄 (オートサンプラーの針先を含む) を自動的に行い、前サンプルの影響を極力少なくするプログラムを組んでいます。これにより1回目の測定からデータを有効値として活用できます。
■ サンプル測定前に行う日常点検の効率化
酸化剤を測定するバックグラウンドテストと呼ばれる標準化された日常点検により、試験者の試薬の事前準備や試験対応の負担は最小化されます。
■ データインテグリティ対応に優れたセキュリティ機能とデータ完全性
外部PCが不要のTOC専用器であり、ID管理や権限機能に対応し、分析データや監査証跡の記録などデータを確実に保存、保管することができます。さらに、QbD1200+から直接にLIMS等のサーバーへ転送やプリンター出力ができます。
QbD1200+は、継続的な洗浄バリデーション試験において高い効果を発揮します。高評価のデータインテグリティ対応と試験担当者の工数やコスト負担を最小化する効果が期待できます。