課題
製油所や石油化学会社にサービスを提供している受託会社では、各パラメーターの測定に30~40分を要していました。27のサンプリングポイントすべてからサンプルを採取するため、長期に渡る測定期間に苦慮していました。非効率な測定方法は技術者には負担が大きく、顧客と直接関わる時間を奪い、一週間に訪問できる顧客数が減少していました。
ソリューション
受託会社は、精度を損なうことなく必要な水質パラメーターの検査時間の短縮を期待し、ポータブルパラレルアナライザー(PPA)SL1000を試験導入しました。SL1000は最大6つのパラメーターを同時に分析し、検査時間を短縮します。また、SL1000はゼロ設定、サンプルの揺り動かし、その他の手作業によるプロセスを排除することで、手分析によるばらつきや煩雑な作業を削減します。
メリット
SL1000の試験導入中、受託会社はサンプリングと測定に費やす時間を、パラメーター1つあたり40分から8分に短縮しました。従来、現場で測定を完了させるには16~18時間かかっていましたが、SL1000は測定中の人的エラーの可能性を低減しつつ、これを75%削減しました。
背景
世界中の石油・ガス会社にサービスを提供するこの受託会社は、顧客が燃料貯蔵庫を最大限に活用できるよう、トラブルシューティングから抜き打ち検査、顧客の業務サポートまで、あらゆるサービスを提供しています。顧客の施設の規模と複雑さにより、手分析と測定を完了するのには時間がかかり、分析結果を顧客へ迅速に報告することに課題がありました。
ある施設では、サービス技術者が27のサンプルポイント(7つの給水施設、7つのボイラー、凝縮水と蒸気トラップの混合を含む)からサンプルを採取する必要がありました。測定パラメーターには以下が含まれます。
●給水:硬度、アルカリ度、鉄、pH、伝導度
●ボイラー:アルカリ度(最大700ppm)、pH、伝導度
(ここでの測定はポリリン酸を用いており、さらに故障予防のためにオルトリン酸を確認)
●復水:鉄
27のサンプルポイントがあり、各グラブサンプルの測定には約30~40分を要するため、水質分析の完了には最大16~18時間が必要となります。この受託会社では、すべての顧客に対して業務上および戦略上のパートナーとなるべく、顧客に対して測定や分析以上のサービスを提供することを技術者に求めています。
しかし、毎週複数の現場での測定を必要とする顧客もおり、グラブサンプルのプロセスが長時間かつ煩雑であるため、測定とレポート作成以外の業務が困難になっていました。
同社は技術者がサンプル分析をより迅速に報告できる新しいソリューションを必要としていました。業務効率化は、技術者がより多くの現場を訪問し、顧客と直接対峙する時間を増やす機会を生み出します。
ソリューションと改善
過去20年にわたりハック製品を使用してきた受託会社の事業開発マネージャーの一人が、グラブサンプルの検査を合理化できるのではないかと期待し、SL1000の試験導入を決定しました。
「私は常にラボで時間短縮できるものを探していました。2005年からハックの担当者を知っていますが、彼女はSL1000を紹介した時すでに、私が興味を持つことを分かっていたでしょうね。」

現場での測定(写真はイメージです)
測定の簡素化
SL1000は、装置に直接挿入する「ケムキー」試薬を使用することで、1つのサンプルで最大4つの比色分析テストを同時に実行できます。また、インテリカル™プローブを使用することで、2つのプローブによる測定をすることができます。つまり、最大6つのパラメーターを同時測定することが可能となります。
ある給水施設の現場では、事業開発マネージャーが、pH、導電率、硬度、鉄を同時にすばやく測定できたと語っています。
「同時測定ができるというのは素晴らしいことです。私は4つのケムキーを差し込み、サンプルを採取し、実行ボタンを押して、それが測定されている間にpHと伝導率も測定しました。使い方はとても簡単です。素早く測定し、より迅速に調整を行うことができます。」
SL1000の測定値を迅速に活用可能な状態に変換できることで、技術者は顧客の許可要件を満たし、スケーリング、汚損、腐食などの問題を回避しやすくなります。また、コンプライアンス報告には迅速性も重要です。施設に排水処理プラントが設置されている場合、技術者は、オルトリン酸塩、アンモニア、pH、伝導度などの主要パラメーターに関する規制要件を満たすために、より迅速に調整を行うことができます。
個人差の解消
SL1000を使用した分析では、ゼロ調整、混合、サンプルの揺り動かしといった一連のプロセスが不要であるため、結果の個人差が排除され、すべての現場担当者の測定結果が、より一貫性のあるものになります。
「ボイラーサンプルを分析する際、重要な要素のひとつはアルカリ度です。通常は滴定試験を行います。滴定にはいくつかのプロセスがあり、同じやり方をする人はいません。色は主観的なものです。特にビュレットを観察する際、測定者の身長やその時の温度も関係してきます。SL1000は、測定における人為的な不確実性を排除します。」
さらにSL1000は、現場担当者が装置からコンピューターに直接データを転送することができます。この機能により、担当者は手動で転記するよりもデータに確信を持つことができるようになりました。事業開発マネージャーは語ります。
「これは6か? ゼロか? 2か?といった迷いがなく、また データに触れる時間が短ければ短いほど、データの正確性は高くなります。」「SL1000で結果をスプレッドシートにダウンロードして、カット&ペーストできるのは非常に便利です。」
検査キットの整理
SL1000はポータブル測定用に設計されており、従来の試験管、パウダーピロー、ビュレット、その他の器具で大荷物となった測定セットを持参する必要性を減らします。導入試験中に、技術者はこれまでトランクいっぱいだった水質検査用器具をSL1000と試薬のみに減らすことができました。

専用キャリーケースで持ち運びが簡便
「これだけでも嬉しいことです。1つのケースにその日必要なものをすべて持ち運ぶことができ、それほど重くありません。以前は、パウダーピローや試験管が入った約7kgの道具箱を持ち歩いていました。SL1000のおかげでとても楽になりました。現場では必要なことをするだけで、時折詳細の水サンプルをラボに送る程度です。」
結論
3週間にわたるSL1000の試験導入の間、最大2日間に相当する測定時間を大幅に短縮することができました。事業開発マネージャーは次のようにコメントしています。
「ボイラーサンプルや補給水の分析に当初は30分を要していましたが、すべてのパラメーターを10分で分析できるようになりました。分析に要する時間とは、オルトリン酸塩、アルカリ度、pH、伝導率、硬度など、これらすべての測定時間のことです。27のサンプルをそれぞれを個別に6回分析し、1サンプルあたり30~40分近くかかりました。SL1000はこれを1回に短縮します。16~18時間かかっていた27サンプルの分析が約4時間に短縮されたのです。この時間の節約は、非常に大きなものです。」
試験導入後、受託会社はSL1000を導入し、さらに3台を追加導入しました。2台は他の技術者に、もう1台はラボ分析の効率化のためにラボに置かれました。
「この業界で仕事を始めて以来、ずっとハックの技術をラボで使用しています。すべてが効率化されています。SL1000は、この1台にすべてが集約しているので、実にさまざまなことができるのです。」