オンラインVFA(揮発性脂肪酸)計 EZ 7200
製品概要
オンラインVFA(揮発性脂肪酸)計 EZ7200シリーズは、湿式の嫌気性消化処理槽のモニタリング用に設計された、高機能オンライン滴定装置です。中規模から大規模の嫌気性消化処理における、新たな管理方法をご提案します。
バイオガス発電、メタン発酵プロセス、工場排水、下水処理における嫌気性廃水処理、嫌気性汚泥処理の発酵槽内は、非常に複雑な有機炭素化合物の分解が行われている点で、難しさがあります。ひとたび発酵槽内のバランスが崩れると、メタン菌の死滅等に影響が及び、プロセス負荷・効率・運転安全性に影響を与えます。
そこで、重要なパラメーターを常時監視することが求められます。温度、pH、アルカリ度、揮発性脂肪酸(VFA)、VFA/アルカリ度比と、多くの項目がこれにあたります。例えばVFAに関しては揮発性のため、ラボでの測定は非常に困難なうえ、専門性の高い技術者を要します。オンラインVFA計EZ7200は、オンラインで測定することを可能にしました。10-15分周期でオンライン測定をすることで、消化槽内の様々な事象を事前に察知可能となります。
オンラインVFA計による常時監視は、以下のようなメリットがあります。
・ 通常とは違う廃棄物を入れてしまう等の理由による、バイオガスプロセスの休止防止
・ グラニュール汚泥の入れ替えをpHで行っている場合、そのタイミングを適切に管理することにより経費を大幅に削減
・ 本測定器ではVFAとアルカリのFOS/TAC比率信号が出力でき、バイオガス発電に最適な0.3-0.4を維持可能
リアルタイムでVFAを測定できるのはEZだけ、2007年からバイオガス先進地域であるヨーロッパで実績が多数ございます。測定原理等、詳細はお気軽にお問合せください。(導入企業様の事例をこちらからご覧いただけます)
製品の特長
揮発性脂肪酸(VFA)をはじめ、重要なパラメーターを常時監視
温度やpHの状況は、微生物の活性を維持するために重要ですが、揮発性脂肪酸(VFA)も同様に重要な指標です。
● 揮発性脂肪酸
揮発性脂肪酸は、短鎖の酸からなる非特異的なパラメーターです。酢酸・酪酸・ギ酸・プロピオン酸などメタン生成のための中間生成物の総称です。この有機酸が発酵槽内に貯まりすぎると、pHが酸性側に傾きやすくなりメタン発酵を阻害し、最悪の場合にはメタン菌が死滅してしまいます。逆に少なければ、十分なメタン生成ができなくなります。
つまり、狭い範囲でしか活性を発揮しないメタン菌にとってはpHの変動は死活問題であり、値の変動を検知した時点で、発酵槽内は安定していないということになります。つまりpHに変動がみられた時点での対処では、手遅れとなってしまうケースもあるため、その予兆を見逃さないためには、揮発性脂肪酸値の推移を監視することが必要なのです。
●アルカリ度(全アルカリ度、Pアルカリ度)、VFA/アルカリ度比
アルカリ度は、消化槽の緩衝能力、つまりpHの変化に耐える能力を示唆します。発酵槽内で酸が蓄積されると、アルカリ度が次第に枯渇していきますので、その状況を監視します。
また、VFAとアルカリ度の比は、理想的な酸とアルカリ度の比率を見るものです。健全な発酵槽内で酸を生成するバクテリア、アルカリを生成するバクテリア間のバランスを表します。
このように複数のパラメーターを同時に測定することは非常に重要です。例えば、温度上昇が起こりその後VFAの値が上昇していても、pHの値はフラットなままであったという事例もあります。このプラントでは、VFA値の上昇に合わせて、温度やサンプルの投入量を調整することにより、プラントの稼働を止めることなく安定稼働を続けることに成功しました。
様々な自動機能、アラーム処理を標準装備
オンラインでの常時監視を行っていても、装置の度重なる不具合が生じるようでは、常時監視どころではなくなります。プロセス内でのオンライン測定の難しさは、サンプルの高SS、残渣が別の要因として挙げられます。
オンラインVFA計EZ7200には、嫌気性消化処理において挙げられる様々な課題を解決するための、以下の自動機能を標準装備しています。
・自動校正
・自動バリデーション
・自動クリーニング
・自動吸引
EZ7200本体から制御される自動洗浄機能付きフィルターの優れた洗浄力をこちらのリンクからビデオをご覧いただけます。(1分13秒。Youtubeが開きます。)
また、アラーム処理機能も搭載されているため、プラント管理をより簡便に、正確に実施していくことを後押しします。
状況に応じたオプション機能や前処理装置で、よりスムーズなプラント監視を
プラントにより管理システムは多種多様です。状況に応じたオプションもご用意しています。
・マルチストリーム分析:最大8流路まで対応が可能
・HD型自動洗浄装置付属前処理装置:EZ9130
オンライン分析の安定稼働と制御を同時に実現するためには、自動サンプリングと前処理装置は必要不可欠です。EZ9130は、ヘビーデューティーサンプリングシステム専用に開発された装置です。この前処理装置を使用することにより、大量の固形物を含んだサンプル水を処理し、維持管理することが可能となります。
・さまざまな粒子径に対応
・自動洗浄機能 (計装エアー、水)
・本体と連動し、測定/洗浄間隔設定が可能
・スタティック圧力調整器によるVFA計へのサンプル水の安定供給
仕様
全アルカリ度、Pアルカリ度:1 - 5,000 mg/L as CaCO3換算
VFA: 20 - 1,000 mg/L as 酢酸当量
全アルカリ度、Pアルカリ度:1 - 5,000 mg/L as CaCO3換算
VFA: 100 - 5,000 mg/L as 酢酸当量
全アルカリ度、Pアルカリ度:5 - 10,000 mg/L as CaCO3換算
VFA: 500 - 10,000 mg/L as 酢酸当量
全アルカリ度、Pアルカリ度:5 - 10,000 mg/L as CaCO3換算