pHだけでは不十分
嫌気性消化における多段階プロセスでは、まず始めにさまざまな種類の細菌が複雑な有機化合物を揮発性脂肪酸(VFA:Volatile Fatty Acids)に変換した後、バイオガス(メタン)に変換します。
最適な結果を得るためには、消化槽のpH値は6.5から7.5の間であるべきですが、pHを測定するだけでは十分とはいえません。
持続可能で安全な運転を行うためは、酸濃度の変化を補償するために十分な緩衝能力 [総アルカリ度TAC(単にアルカリ度とも呼ばれることもあります)]が必要です。
酸性に傾きすぎた消化槽は、バクテリア、特にメタン生成バクテリアにとっては有害です。 低pHの有害な条件による異常事態の発生は、対応に非常にコストがかかる場合があり、また消化槽の再播種にも長い時間が必要です。そのため、VFAとTACの比率を測定することは、消化槽の実態を知る上で最も良い指標となります。
● VFA = Volatile Fatty Acids(揮発性脂肪酸)
● TAC= Total Alkalinity of Carbonates(炭酸塩の総アルカリ度(アルカリ性))
炭酸塩に換算値(mg/L CaCO₃で表されます)
● VFA/TAC = 揮発性酸とアルカリ度の比率
最適な比率はプラント固有のものであり、通常状態のベースライン・モニタリングを通じて決定していきます。
時間
分解プロセスでは多くの場合、手作業によるサンプリングでモニターされています。手分析は、他の重要な作業に使えるはずの貴重な時間を奪うことになります。また実験室での結果が出ることを待つということは、消化槽内のあらゆる変化を早期に発見する妨げとなり場合があり、その結果、タイムリーに対策を講じることが難しくなる場合があります。
安全性
有機物負荷と固形物含有量の変動は、消化プロセスに大きな課題をもたらします。過負荷や過度の酸性度による、緊急性を伴う事故を早期に発見し、適切なプロセス変更と対策を導入するためには、消化槽の状態に関する情報を提供する信頼性の高い測定結果が必要です。
最適化~VFAとアルカリ度の連続モニタリングをすることで実現できること
• 24時間365日、リアルタイムで測定結果を提供し、消化槽の安定稼働を実現
• 消化槽内の異常事態発生のリスクを低減し、バイオガス生産量の増加を実現
• 手作業や検査結果の待ち時間の短縮を実現
関連製品:揮発性脂肪酸・アルカリ度測定装置 EZ7200シリーズ
EZ7200は、はオンライン滴定装置です。
オプションで、装置1台につき最大8つのサンプルストリームをモニタリングし、サンプリングポイントあたりのコストを削減します。また、通信用アナログ/デジタル出力が可能です。
詳細はこちら製品ページをご確認ください。